市民協働とは?
「市民協働」とは
地方自治の分野で「協働」という用語が最近よく使われています。コラボレーション(collaboration)を訳したものとも言われていますが、この言葉は芸術や産業の分野でもよく使われています。
「協働」「コラボレーション」という言葉は一緒に行う、協力して行うという意味だけでなく、異質なものの出会いによって生まれる相乗効果、創造性を期待する意味も込められているようです。
この「協働」の中でも、特に、市民と行政が協働する関係を指して「市民協働」と言われています。具体的には、市民、市民活動団体、事業者及び市がお互いの立場を理解し、不特定かつ多数の者の利益の増進を図るための共通の目標に向かって対等な立場で協力して、その成果と責任を共有する関係とされています。
今、なぜ「協働」が必要なのか
(1)「新しい公共」の創造
昨今の市を取り巻く情勢は、人口減少や長期にわたる景気の低迷により、歳入に占める市税や地方交付税の割合が落ち込んでおり、今後とも厳しい財政状況が続くことが予想されるため、行財政運営の健全性の維持が求められています。
その一方で、少子化や高齢化、高度情報化などが進む中で、市民ニーズは多種多様化してきており、これらのニーズに対応する住民満足度の高い行政サービスを行っていくためには、新たな行政手法への転換が求められています。
平成10年に、NPO法が施行されたことで、全国的には公益的な事業を市民活動として行うNPO法人が多く生まれ、その活動に対して「新しい公共の担い手」としての期待が高まっています。
大野市においては、NPO法人はまだまだ少ない状況ではありますが、自発的な志を持った市民活動団体による地域の活性化事業などが活発化してきています。
このようなことを踏まえ、これからの大野市の行政運営には、自治会との連携を継続しながらも、団体などと市とが対等の立場で手を組み、それぞれの特性を生かし、知恵と工夫を凝らしながら諸課題を解決していく「市民協働」の仕組みが必要となってきています。
「市民協働」を推進することにより、行政だけでは難しかったきめ細かで柔軟で迅速な対応、新しいサービス、有効な取り組みが可能になります。
市民活動団体や創出されるサービスは「新しい公共」とも呼ばれ、豊かな地域社会の創造に寄与するものと期待されています。
(2)市民参画・住民自治が進む
市民活動団体と行政が協働するためには、お互いの特性と立場を理解し、情報を共有し、協力する関係が不可欠です。
行政には、情報をわかりやすく市民に提供することにより市政への関心を高め、市民のまちづくりへの参画意識を高めていくことが求められています。
行政主導での形式的な参加ではなく、まちづくりの主体としての市民の参画が協働社会の土台として極めて重要ですし、住民自治を進めることにもつながります。
(3)行政の効率化と行政体質の改善につながる
自治体を取り巻く社会環境は一段と厳しさを増しており、財政的・人的制約の中にあって、行政は市民ニーズを的確に捉え、効率的・効果的な公共サービスを実施していくことが求められています。
協働事業により同じ経費でより良い事業やサービスが実現できれば、結果として市が単独で実施場合と比べて、効率的・効果的に行政運営がなされることにつながります。
また、行政とは異なる発想や行動原理を持つ市民活動団体などと対等の立場で協働することにより、職員は意識改革が求められ、長年の間に培われてきた行政主導体質の改善や見直しが必要となってきます。将来、行政のあり方そのものが問い直されていくことも考えられます。
このことから協働は「変革の行動原理である」とも言われています。
(4)まちづくりに携わる市民の絆が強まり、市民力・地域力が高まる
近年、コミュニティ意識の希薄化・形骸化が大きな問題となっています。しかし、頻発する自然災害時においても、地域コミュニティの役割は大変重要ですし、その再生が求められています。
市民協働での事業は、身近な地域社会の課題解決であり、地域は協働事業のステージ(舞台)となります。
従来から存在する地縁型組織が相互扶助・親睦の枠を超え、地域の垣根を越えてNPO等の多様な組織との連携・協働を深め、まちづくりに取り組むプロセスを通じて、地域社会の自己革新と再生につながる効果も期待されます。