3.地下水を「育む」取り組み
3‐1.水田湛水
大野市では、昭和53年度から冬期間の地下水位低下を緩和することを目的に、地下水涵養域である千歳地区や西据地区などで、毎年10月から2月までの5か月間、水田を借り上げて湛水を行っています。
令和4年度は、10月1日から約40ヘクタールの水田で湛水を行っています。
平成21年度に実施した水田湛水地下水位解析調査業務委託報告書によると、水田湛水を10月1日から2月末までの5か月の間、約30haの面積で実施すると、約22万トンの地下水涵養効果があると推定されています。これは、平均的な降雪時における市域の年間消雪揚水量を補う程度の地下水の涵養量に相当します。
農業用排水路に浸透桝を設置して地下水涵養を図っています
水田湛水を実施している地域の農業用排水路に浸透桝を設置し、地下水涵養を図っています。浸透桝は毎年、堆積した砂や泥を取り除くなど、適切に管理しています。
3‐2.雨水利用
雨水は地面に浸透させることにより、川の洪水を抑制する効果や地下水を育む効果があります。また、雨水は水洗トイレ用水や散水などの用途に使用することで、緊急時の代替水源としての利用や平常時の節水につながるなど、水資源として有効利用ができます。
〇大野市では、平成10年に雨水浸透能力調査を実施しています。
(調査報告書は、水のがっこうで見ることができます。)
調査目的
- 雨水浸透がどの程度、地下水涵養対策として有効なのか。
- 浸透させる雨水が環境に適切なものなのか。など
調査結果概要
- 調査結果では小山公民館(屋根面積:170.2立方メートル)の屋根雨量を水量に換算すると355.5立方メートルでした。
- 4人世帯の1カ月あたりの使用水量が25立米と仮定すると、1年分の使用水量(300立方メートル)がまかなえる量の雨水が地下浸透したことになります。
- 雨水の水質について、ph以外は水道水の水質基準を超過していませんでした。
3‐3.森林の保全
大野市の市域の約87%は森林です。
森林の土には透水性や保水性があり、大量の水を地下に留めて、ゆっくりと時間をかけて川に流す機能があり、「緑のダム」と呼ばれています。
そのため、地下水をはじめ水循環を健全な状態に保つためには間伐などの森林整備を行い、森林環境を適正で良好な状態に保つ必要があります。
大野市では、大野市森・水保全条例を制定し、森林の再生や保全に関する様々な取り組みを行っています。
どんぐりの里親事業
市内小学生がどんぐりの苗木の育成を通じ、身近な森林への関心を高め、森の重要性に関する理解を深める事業を行っています。
森づくりイベント
エコフィールド(どんグリーン広場)を活用し、緑化活動の啓発を行い、自然環境教育及び自然体験活動等の環境保全活動を楽しみながら実践する森づくりイベントを実施しています。
3‐4.農地の保全
大野市の田畑を合わせた農地面積は約4,200haで、そのうち4,060haが水田です。水田や畑などの農地に供給された農業用水は地下にしみ込み、地下水となります。
農地は、健全な水循環や地下水を維持するために必要となる「表流水の貯留」と「地下水の涵養」などの多面的機能を有しています。
大野市では、「おおの型食・農業・農村ビジョン」を策定し、農業の担い手の育成や農業経営体質の改善など農業振興に関する様々な取り組みを行っています。
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