【特集】大野で挑む 地域おこし協力隊
※本ページの掲載内容は、広報おおの
令和8年10月号に掲載された情報を、ウェブ用に再編集したものです

皆さんは、地域おこし協力隊を知っていますか。都市部などから地方に移り住み、地域の人たちと関わりながら、地域の課題解決や魅力発信などに取り組む制度です。本市ではこれまで20人の隊員が活動し、空き家対策や星空PRなど、さまざまな分野で地域のために挑戦してきました。現在は6人の隊員が、それぞれのテーマを持って活動しています。
隊員たちは、どのような思いで大野に来て、活動しているのでしょう。地域の中に飛び込み、住民の声に耳を傾け、時には一緒に汗を流しながら、一つ一つの活動を形にしています。その過程では、地域の人との出会いやつながりが生まれ、隊員自身もまた、大野の魅力や課題に気付いています。
現役隊員の活動や思い、OB・OGの現在、地域住民の声を通して、地域おこし協力隊の「今」に迫ります。大野で挑む隊員の物語をのぞいてみましょう。
目次
協力隊・地域・自治体の「三方よし」
地域おこし協力隊の活動は、隊員だけで完結するものではありません。地域の人と関わり、地域の課題や魅力に向き合う中で、隊員にも地域にも、そして自治体にも新たな発見やつながりが生まれます。

各立場のメリット
地域おこし協力隊
経験や才能、能力を生かした活動に取り組むことができ、地域との関わりを通じて、理想とする暮らしや新たな生きがいを見つけるきっかけになります。
地域
隊員ならではの新しい視点により、地域の魅力を再発見するきっかけとなり、新たなアイデアや交流が生まれるなど、新しい風を吹き込むことができます。
自治体
地域活性化を担う人材を確保することができ、地域の課題やニーズに応じた柔軟な取り組みを進めることができます。
各隊員のインタビュー(令和8年9月現在の現役隊員)
- 川口赳司さん【ミッション:関係人口創出コーディネーター】
- 村上綾さん【ミッション:子育て支援・若者支援】
- 玉井嘉さん【ミッション:森林資源の魅力創出】
- 猪口涼さん【ミッション:アウトドア観光プロデュース】
- 下山諒さん【ミッション:星空保護区エリアプロデュース】
- 木村聡史さん【ミッション:空き家の利活用】
川口赳司 さん

出身:東京都
着任:令和5年11月
ミッション:関係人口コーディネーター
好きな場所:南六呂師の道
大野と関わり続ける入口をつくる
関係人口創出コーディネーターとして、都市部の学生を対象に、大野と関わり始める入口や、関わり続けられる仕組みづくりに取り組んでいます。
その一つが「雪国インターン」です。都市部の学生を大野に呼び込み、市内の事業者のもとでインターンとして働いてもらう取り組みで、2024年度から始めました。これまで4回実施し、計28人の学生を受け入れています。
インターンを通して、学生たちは大野で暮らし、働く人たちと出会います。普段の学生生活ではなかなか経験できない地域での仕事や暮らしに触れることで、自分の将来や生き方を考えるきっかけにもなっています。
一方で、受け入れる事業者の皆さんにとっても、学生という外から来た人の視点に触れることで、自分たちの事業を改めて見つめ直す機会になっています。後継者不足など、これから向き合っていかなければならない課題について考えるきっかけになったという声もありました。
学生にとっても、事業者にとっても、新しい気付きや成長につながる。そんな時間を、これからもつくっていきたいと思っています。
大野とのつながりが、移住につながった
私が大野で協力隊として活動するようになった背景には、学生時代からの大野とのつながりがあります。
大学では関西大学に所属していました。大学と大野市が連携協定を結んでいたこともあり、学生の頃から大野で活動する機会が多く、地域の人たちとのつながりも少しずつ生まれていきました。
そんな中で、大野を「訪れる場所」ではなく、「暮らしながら関わっていきたい場所」と考えるようになりました。
きっかけの一つになったのが、以前から憧れていた建築家の「地域に住み続ける」という考え方です。地域に住み、そこで人と関わりながら、時間をかけて地域との関係を築いていく。その姿勢に影響を受け、自分も一つの地域に住み続けながら、関わりを積み重ねていきたいと思うようになりました。
そして、大学卒業後、大野市に移住しました。
自分と向き合える場所
私にとって、大野は「自分と向き合える場所」です。
自分は何をしたいのか、それをどう形にしていけばいいのか。大野にいると、そうしたことをじっくり考える時間があります。
もちろん、活動を自分一人の力だけで進めているわけではありません。同じ大学の先輩や、活動に伴走してくれている市の職員、そして地域で出会ったたくさんの人たちに支えてもらいながら、一つ一つ形にしています。
地域の中で人と出会い、話をして、一緒に考えながら何かをつくっていく。そうした積み重ねが、今の活動につながっています。
春日通りに新しい拠点を
現在は、春日通りの空き家を改修し、人が集まる新たな拠点づくりにも取り組んでいます。
これまで何度もワークショップを重ね、たくさんの人たちと意見を出し合いながら、少しずつ形にしてきました。自分一人で完成させるのではなく、いろいろな人が関わりながらつくっていくことを大切にしています。
これまで関わってくださった方はもちろん、まだこの場所を知らない方にも、ぜひ足を運んでいただきたいと思っています。
大野に関わるきっかけは、特別なものでなくてもいいと思います。学生として訪れること、地域の人と話すこと、新しい場所に足を運んでみること。そんな小さなきっかけから、大野とのつながりが始まることがあります。
これからも、そんな「大野と関わる入口」を一つずつつくっていきたいです。
村上綾さん

出身:神奈川県
着任:令和6年5月
ミッション:子育て支援・若者支援
好きな場所:阪谷地区から見る大野盆地
魅力は「人のつながり」
初めて大野を訪れたのは3年前。大野に住んでいた友人に会いに来たことがきっかけでした。
そのときに泊まったホステルの皆さんが、大野の魅力をたくさん話してくれたり、温かく迎えてくれたりしたことが印象に残っています。さらに、たまたまその日に横町通りでお祭りがあり、地域の人たちと一緒に参加しました。その場で感じた人とのつながりや温かさに心から惹かれ、「ここに住みたい」と強く思いました。
大野の魅力といえば、豊かな自然や城下町の町並みなど、いろいろなものがあります。でも、移住して3年目になった今、改めて感じるのは、やはり「人のつながり」です。
来るものを拒まず、去るものを追わずという言葉がありますが、大野の人たちは程よい距離感で接してくれます。困ったときには、こちらからお願いする前にスッと手を差し伸べてくれる人も多い。そうした人たちに支えてもらいながら、充実した毎日を過ごしています。
私自身、大野が好きだからこそ夫と大野で暮らし始め、子どもも授かりました。地域おこし協力隊は、任期が終われば大野を離れる人ばかりではありません。大野が好きで、このまちで暮らし続けたいと思っている隊員もたくさんいます。私もその一人です。
子どもたちに「大野が好き」と伝えたい
現在は、子育て支援と若者支援を中心に活動しています。
子育て支援では、子ども向けの催しを主催したり、イベントの運営をサポートしたりしています。イベントを企画するときに大切にしているのは、「教育」という視点です。
城下町や豊かな自然など、大野には子どもたちが楽しみながら地域を知ることのできる魅力がたくさんあります。そうした「大野らしさ」に触れる機会をつくり、子どもたちが「大野っていいな」と思ってくれるような活動をしていきたいと考えています。
これからは、放課後の子どもたちが安心して過ごせる居場所として「放課後スクール」をつくりたいと思っています。
また、私の出身地である神奈川県や、以前働いていた東京から子どもたちを大野に招き、4泊5日の「サマースクール」も開催したいと考えています。大野の子どもたちにも参加してもらい、都市と地方の子どもたちが一緒に過ごし、学び、交流できる場をつくりたいです。
若者支援では、人手を必要としている事業者の皆さんと、大野で働く環境を探している若者をつなぐ活動にも取り組んでいます。まだ少しずつではありますが、人と人との出会いから、新しい仕事や地域との関わりが生まれていけばと思っています。
大野を好きな大人を増やしたい
子どもたちと接する機会が多いからこそ、強く感じることがあります。それは、子どもたちが地域に魅力を感じるためには、まず大人が地域に誇りを持つことが大切だということです。
親御さんには、子どもたちに「大野には何もない」と言わないでほしいと思っています。
大野には、自然や歴史、町並み、人とのつながりなど、たくさんの魅力があります。でも、子どもたちにとって、それらが「大野の魅力」になるためには、大人がその良さを見せてあげることも大切です。
大人が「大野が好き」と言っている姿を見れば、子どもたちもきっと「大野っていいところなのかもしれない」と感じるのではないでしょうか。
だからこそ、私自身も活動を通して、大野の良いところを子どもたちに伝えていきたいと思っています。
地域おこし協力隊には、人との交流が好きでどんどん行動していく人もいれば、じっくり考えながら丁寧に活動している人、職人気質でこだわりを持って活動している人もいます。それぞれに違った個性や活動があります。
もし、自分と関わりのある活動をしている隊員や、少しでも興味のある活動をしている隊員がいたら、ぜひ気軽に声をかけてみてください。そこから新しいつながりが生まれるかもしれません。
私自身も、大野で出会ったたくさんの人たちとのつながりに支えられて、今ここで活動しています。これからも人とのつながりを大切にしながら、子どもたちが「大野が好き」と思えるきっかけを、一つずつつくっていきたいです。
玉井嘉 さん

出身:敦賀市
着任:令和6年11月
ミッション:森林資源の魅力創出
好きな場所:石徹白川の川辺
山を通して人がつながる場所を
福井の山について語り合う交流イベント「ゆるもりカフェ」を開催しています。カフェのようにくつろぎながら、森林を軸に参加者同士がざっくばらんに話をしたり、キャンプをしたり、実際に山へ登ったりしています。昨年度は7回開催しました。
参加者の思いはさまざまです。「もっと山を知りたい」という人もいれば、「森林が抱える課題をどうしたらいいのか」と悩んでいる人もいます。それぞれが抱えている思いや課題を共有することで、参加者同士の新しいつながりや、次の取り組みが生まれるきっかけにもなっています。
また、森林に関する先進的な取り組みを行っている地域を実際に訪ね、そこで学んだことを大野市役所の職員をはじめ、市の皆さんに共有する活動も行っています。自分が現地で見たり、感じたりしたことを、大野での取り組みにつなげていければと思っています。
活動の原点
高校生の頃、熱帯雨林に興味を持ち、大学では森林科学を専攻しました。森林が持つ機能について研究する中で、森林そのものへの興味が深まっていきました。
その一方で、研究室の中だけではなく、もっと地域に入っていき、「森林と人の暮らしがどのように関わっているのか」を実際の現場で知りたいと思うようになりました。
そんな時に目に留まったのが、大野の地域おこし協力隊の募集でした。森林について学んできた自分の経験を生かしながら、地域の中で森林と人との関わりを考えられることに共感し、応募しました。
四季の変化を感じられるまち
大野の好きなところの一つは、四季によってまちの雰囲気が大きく変わるところです。
毎日、周りを見渡しているだけでも、何かしらの変化を見つけることができます。季節が変わるたびに景色が変わるので、生活していて飽きません。
特に、山から市内を眺める景色には何度も感動しています。季節によって田畑の色彩が変わり、それに合わせてまち全体の見え方も変わっていきます。
森林を仕事にしているからこそ気付くこともありますが、大野で暮らしていると、山や田畑、まちの風景がつながっていることを日々感じます。
山を知る入口をつくる
山や森林が抱えている課題は、普段の暮らしの中では見えにくいものだからこそ、まずは身近なところから知ってもらうことが大切だと思っています。
今後は、枝葉を使った日用品づうk利に挑戦したいと思っています。実際に木を使った製品を手に取ってもらうことで、「この木はどこから来たのだろう」「この木が育った山は、今どうなっているのだろう」と考えるきっかけになるかもしれません。
山や森林の課題を直接伝えるだけではなく、身近なモノを入口にして、少しずつ山に目を向けてもらえるような取り組みをしていきたいです。
「どんな山にしていきたいか」を考えてほしい
市民の皆さんには、大野にはたくさんの魅力があるということを知ってほしいと思っています。
大野には、自然科学や地球科学のような世界がまちの中にあり、そこから生まれた人々の文化や歴史についても学べる環境があります。山や自然も含めて、大野にはまだまだ知ってもらいたい魅力がたくさんあります。
そして、「これから大野をどういうまちにしていきたいか」と考えるときに、まちなかや人が住んでいる地域だけでなく、「どんな山にしていきたいか」ということも、少し考えてもらえるとうれしいです。
山は、私たちの暮らしから少し離れた場所にあるように見えて、実は大野の風景や文化、暮らしと深くつながっています。
山について考えることも、大野のこれからを考えることの一つ。そんなことを、活動を通して伝えていけたらと思っています。
猪口 涼さん

出身:群馬県
着任:令和6年7月
ミッション:アウトドア観光プロデュース
好きな場所:SORA to DAICHI(ソラトダイチ)
地域と共に育つイベントを目指して
南六呂師のキャンプ場「SORA to DAICHI」を拠点に、アウトドア観光のプロデュースに取り組んでいます。
昨年度は、音楽イベント「Rockroshi Starry Music Festival」を開催し、多くの来場者でにぎわいました。今年度も10月10日、11日に開催します。
このイベントで大切にしているのは、音楽を楽しんでもらうことだけではありません。イベントを目的に大野を訪れた人に、市内のさまざまな場所を巡ってもらい、大野で過ごす時間を増やしてもらいたいと考えています。
2日間のイベントにしているのも、できるだけ大野に滞在してもらいたいという思いがあるからです。イベントをきっかけに大野を歩き、食事をしたり、自然を楽しんだりしながら、「大野ってこんなところなんだ」と知ってもらえたらうれしいです。
地域を盛り上げる人材を育てる
イベントの企画や情報発信、運営を学びたい福井大学生の受け入れも行っています。
イベントを開催するまでには、企画を考えるだけでなく、情報を発信したり、さまざまな人と調整したり、当日の運営を考えたりと、多くの準備が必要です。そうした一連の流れを実際の活動を通して経験してもらっています。
学生にイベントづくりのノウハウを伝えることはもちろんですが、準備や運営を通して、地域を盛り上げる人材を育てることも大切な活動だと思っています。
地域に根付く場所へ
これからは、自分たちの活動を応援してくれる人、協力してくれる人を、大野で少しずつ増やしていきたいです。
「地元が盛り上がってほしい」という思いを持っている人は、きっと大野にもたくさんいると思います。そうした人たちと一緒にイベントをつくり、キャンプ場を育てていくことができれば、活動ももっと地域に根付いていくのではないかと思っています。
自分たちだけで盛り上げるのではなく、地域の人たちと一緒に育てていく。そんなイベントやキャンプ場を目指していきたいです。
下山諒さん

出身:群馬県
着任:令和7年12月
ミッション:星空保護区エリアプロデュース
好きな場所:六呂師高原
星空をきっかけに大野の魅力を伝える
「SORA to DAICHI」を拠点に、大野の星空の魅力を市内外へ発信しています。
活動の一つとして、キャンプ場で「スターリーナイト」というイベントを定期的に開催しています。星空についての解説を聞きながら夜空を眺め、その後はたき火を囲んで参加者同士で団らんします。
星空を見ることをきっかけに、普段はなかなか話すことのない人同士が会話をしたり、新しいつながりが生まれたりする。そんな時間も、このイベントの魅力だと感じています。
大野の星空には、自然の美しさだけでなく、そこに人が集まり、同じ時間を過ごすきっかけをつくる力があると思います。星空を入り口に、大野のことを知ってもらい、実際に訪れてもらえるような活動を続けていきたいです。
大野で感じる人の温かさ
大野に暮らして感じるのは、人の温かさです。
普段の生活の中でも、自然と会話が生まれることがあります。困っていると声を掛けてもらったり、さりげなく助けてもらったりすることも多く、人との距離の近さを感じます。
星空という自然の魅力を伝える活動をしていますが、大野の魅力は自然だけではありません。こうした人とのつながりも、大野ならではの魅力の一つだと感じています。
これから、もっと人とのつながりを
着任してまだ期間が短いこともあり、これからいろいろな人とつながりながら、自分の活動の幅を広げていきたいと思っています。
地域の皆さんや、さまざまな分野で活動する人たちとの出会いを大切にしながら、一緒にできることを少しずつ増やしていきたいです。
そして、星空という大野ならではの魅力を、もっと多くの人に知ってもらいたいと思っています。
大野の夜空を見上げることが、まちを訪れるきっかけになったり、誰かとつながるきっかけになったりする。そんな活動を、これからも続けていきたいです。
木村聡史さん

出身:奈良県
着任:令和8年7月
ミッション:空き家の利活用
好きな場所:六呂師高原
人の暮らしに寄り添う建築を
学生時代、関西大学の大学院に所属し、ゼミを通して大野と関わる機会がありました。1カ月のうち1週間は大野で過ごし、関西大学の横町スタジオに通っていました。
当時は、横町スタジオが活動の幅を広げていく時期でもありました。私自身にとっても、いろいろなことに挑戦していく時期で、大野はそのチャレンジをする場所の一つでした。
今はさらに、学生など若い人たちが訪れる場面が増えたように感じています。学生時代から関わってきた場所だからこそ、こうして時間を経て、また大野で活動できることに縁を感じています。
卒業後は建築会社に就職しましたが、関わるのは大きな建物が中心。実際にその建物を使う人の顔が見えないことに、すっきりしない思いを抱いていました。
「建築を使って、人を豊かにしたい」という思いが強く、もっと地域に寄り添った建築に関わりたいと考えるようになりました。また、空き家が増えている中で、新しい建物も増えていく状況にも疑問を感じていました。
そんな時、大野の地域おこし協力隊で「空き家利活用」の募集を知りました。学生時代から縁のあった大野で、これまで学んできたことを生かしながら、新しい挑戦を始めることにしました。
空き家と人をつなぐ仕組みを
7月に着任したばかりで、まだ右も左も分からないことばかりです。まずは地域を知り、地域の人たちと関わることから始めたいと思っています。
今、特に関心を持っているのが、和泉地区で行われている空き家マッチングツアーです。空き家をバスで巡りながら、移住希望者に紹介する取り組みで、地域の皆さんが主体となって進めています。
空き家の情報を集めるだけでなく、地域のことをよく知る住民の皆さんが、実際に空き家を案内し、人と空き家をつないでいく。こうした取り組みを地域が主体となって行っていることに、大きな意味があると感じています。
和泉地区の皆さんの「地域のことは地域でやらないといけない」という姿勢は、これからの時代にますます大切になっていくと思います。
私も、こうした取り組みを大野市内の他の地域にも広げていきたいと考えています。まずは乾側地区や上庄地区に注目し、それぞれの地域のことを知りながら、少しずつ働きかけていきたいです。
地域と一緒に、大野らしい形を
空き家の利活用は、空き家をどう使うかだけを考えればいいものではないと思っています。そこには、その地域で暮らす人たちの思いや、これまで積み重ねてきた歴史があります。
だからこそ、一つの方法をそのまま広げるのではなく、それぞれの地域の皆さんと一緒に、その地域に合った空き家利活用の形を探していきたいです。
まだ活動を始めたばかりで、大野についても知らないことがたくさんあります。これから活動を通して地域を知り、自分自身も大野のことを少しずつ開拓していきたいと思っています。
市内で見かけることがあれば、ぜひ気軽に声をかけてください。何気ない会話から地域のことを教えてもらったり、新しい活動につながったりすることもあると思います。
人の暮らしに寄り添う建築と、地域の中で生まれる新しい暮らし。その両方を大切にしながら、大野らしい空き家利活用の形を見つけていきたいです。
地域おこし協力隊ネットワーク
地域おこし協力隊は、地域に新たな視点や力をもたらす一方、活動や任期後の暮らしに悩むこともあります。そこで本市では、現役隊員やOB・OG、行政など、協力隊に関わる人たちがつながり、経験や知恵を共有しながら活動を支える「大野市地域おこし協力隊ネットワーク」を立ち上げました。
人と人とのつながりを育み、任期後も大野と関わり続けるきっかけをつくっていきます。

OB・OGの声
角 千鶴さん
隊員時の活動:有害鳥獣対策

二拠点生活で広がる新たな挑戦
隊員時には、有害鳥獣対策を中心に活動し、ジビエの普及を目指して高校や公民館で料理講座を開催しました。また、狩猟に興味を持つきっかけづくりとして、エアソフトガン射撃場を開設。若い世代や女性の猟友会加入につながり、新たな担い手が育っています。
現在は都市圏との二拠点生活を送りながら定期的に大野へ戻り、自然の中でリフレッシュしています。ソフトエアガン射撃競技の練習会や大会の開催に加え、歌や芝居にも挑戦しています。「年齢に関係なく新しいことに挑戦する」という思いを胸に活動の幅を広げています。
三浦紋人 さん
隊員時の活動:空き家の利活用

人が集い、関われる場をつくる
隊員時は、空き家情報バンクの登録促進や和泉地区の空き家バンクの立ち上げ、空き家の適正管理に向けた情報発信などを行いました。
退任後も大野に定住し、建築設計を通じて5件の空き家リノベーションを行ったほか、「関西大学横町スタジオ」を管理運営し、学生や地域住民が交流する場づくりにも注力しています。関西大学の卒業生が大野に移住するなど、新たな人の流れもつくれていると思います。
活動の大きな柱は「人が来る仕組みづくり」。これからも建築と大学連携を通じて、人が集い、関わり続けたくなる環境をつくれるよう挑戦していきます。
山本響 さん
隊員時の活動:まちなかの賑わい創出

「つくる」を軸にした拠点を
地域おこし協力隊では、まちなかでのシェアハウスづくりを経て、印刷をテーマとする交流拠点「大野の印刷・編集室 みなと」を立ち上げました。印刷業務に加え、「つくる」をテーマにしたワークショップを開催し、新たな交流が生まれる場を提供しています。
退任後も大野に定住し、「みなと」の運営を継続しています。宿泊機能を備えるための改装を進めており、大野を訪れた人が「みなと」を拠点に地域を巡り、出会いや体験を持ち帰る場にしていきたいと思っています。これからも周りの人たちの温かさに感謝しながら頑張ります。
市民からのメッセージ/特集締め
【市民からのメッセージ】(株)白山やまぶどうワイン 玉木美奈子さん

収穫の忙しい時期にもっと人手が欲しいと思っていました。そんなとき、地域おこし協力隊の川口さんから「雪国インターン」の声を掛けてもらい、都心部の学生を受け入れることになりました。今年度で2回目になります。川口さんが学生の受け入れ窓口となり、準備や調整、移動の送迎までしてくれるので、こちらの負担が少なく本当に助かっています。
来てくれた学生の中には、インターンが終わった後も手伝いに来てくれる人もいます。仕事を超えたつながりが生まれていることがうれしいですね。
地域おこし協力隊の皆さんの活動には、私たちだけではなくたくさんの市民の皆さんが助かっていると思います。これからも頑張ってください。

地域おこし協力隊の皆さんの活動に迫ると、その原動力は決して隊員だけの力で生まれているものではないことに気付きます。地域の皆さんとの出会いや何気ない会話、一緒に悩み、考え、動く時間が、新しい挑戦を生み出していました。
そして、地域で生まれたつながりは、隊員の任期が終わっても続いていきます。この地に根を下ろし、新たな挑戦を重ねているOB・OGの姿からは、その背中を後押しし、支えとなっている周りの皆さんの温かい表情も伝わってきました。隊員を迎え入れ、そのまなざしを見守り、ときには一緒に歩んできた地域の皆さん。その一つ一つの出会いが、隊員たちの活動を支え、やがて次の試みへと広がっていくのではないでしょうか。
普段の暮らしの中で隊員たちの姿を見かけたら、ぜひ気軽に声を掛けてみてください。何気ない出会いから生まれるつながりを大切にすることが、大野のこれからをつくっていくのかもしれません。

























