服や布団などの生活の道具や貴重品などをしまったり、運んだりするための道具。長持の下に車輪がついており、持ち上げずに運ぶことができます。
火事に備え大事なものを入れているため鍵をかけられるようになっています。
明暦3(1657)年に江戸で発生した火事「明暦の大火」では、多くの人々が車長持を運び出し、混雑の原因の一つとなりました。
そのため、明暦の大火以降、人が多く暮らす江戸・京都・大阪では、車長持を使うこと・作ること・売ることを幕府が禁止しました。
長持は、箪笥、屏風、鏡台、針箱などとともに、嫁入り道具の一つでした。
嫁入り道具は花嫁側が用意し、嫁ぎ先に花嫁が向かう日の前日や当日の午前中に運びこみました。昔は担いで運んでいましたが、昭和の頃から大八車(二輪の大型の荷車)や自動車にのせて運ぶようになります。道具を運ぶ人々は、揃いのハッピとハチマキ(手ぬぐい)を身に着けることが多かったようです。大正13(1924)年に撮影された下の画像でその様子が確認できます。
長持には車輪のついていないものもありますが(車長持の横に展示しています。)、両側面に金具がついており、竿を通し、担いで運ぶことができるようになっています。

嫁入り道具が嫁ぎ先に到着した様子 (大正13年、小山地区下舌で撮影。斉藤敏氏所蔵。)